2005年11月01日
第4話 島へ(1996年夏)
空港があるマーレから、ドーニ(小舟のようなもの)で島へ向かう。モルディブという国は小さな島がたくさん集まってできた国であり、1島1リゾートという感じで島にひとつホテルがある。わたしたちが向かう島は、バンドス島というところだった。
ドーニで1時間近く行った所に島はあった。
バンドス島は歩いて1周できそうな小さな島だった。
島は円形で、その全方位にコテージが建っている。
つまり、どのコテージの外にもすぐビーチが広がっている。泳ぎたくなったらいつでも泳げるというわけだ。これはちょっと贅沢な気分。
コテージ自体は、リゾートとしては物足りない作りかもしれないが、なにしろ、今までわたしたちがいたのがインドなのだから、この上なく豪華に見えた。
ベッドも広く、もちろんホットシャワーもふんだんに出る。それだけで極上の幸せだった。
島に着くとおどろいたのは、日本語を喋れるスタッフが多いことだった。インド、特に南インドは英語すら通じないところも珍しくないのに、さすがモルディブは観光が収入のメインである国だ。
スタッフが気をきかせたのか、わたしたちのコテージの周りには日本人が多かった。そんな気を使わなくてもいいのに……
さて、ホテル代には食事が含まれているらしく、そろそろ時間だったので食堂へ向かった。しかし、食堂はまだ開いていず、「あと10分」と言われる。そう。インドとモルディブの間に時差があるのであった。
ぼんやり待っているのもなんなので、みやげもの屋をのぞく。あまり良いものはないし、しかも高い! これまたインドとのギャップがあるから余計にそう感じる。
水は2.5ドルなのだが、インドで買うと15〜20ルピー(当時だと50〜70円くらい)なので、セコいわたしたちはインドから水を持ってくれば良かったと心から後悔したのであった。
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2005年04月13日
第3話 宿決定(1996年夏)
行き当たりばったりのモルディブ行き。当然、宿は決まっていない。
入国カードには泊まる宿を書く欄があるのだが、もちろん空白。入国審査の時にその旨を伝えたら、とりあえず先に宿を決めて来いというお達しであった。
とりあえず中に入らせてもらって、空港のインフォメーション・カウンターに行った。
出迎えてくれたのは若いお姉さんだった。
顔の造作はインド人と同じようなものの、雰囲気がちがう。何が一番ちがうかというと、笑顔があるのだ。
インド人女性は、あまり笑顔を見せない。かなり無愛想である。
それは、女性が人前で笑顔を見せるのははしたないという、昔からの考えが根底にあるのだろうと思う。恋人同士の男女でも、手をつないだりするのはタブーである。若い人々はそうでもなくなってきているようだ。
一方、同性同士がべたべたしてるのはよく見かける。これは同性愛というわけではなく、普通の友人同士で親愛の情をあらわしてるのであるが。これはインドだけではなく、わたしが行ったことのあるアジア全般によく見られる光景だ。それはまた違う話になってしまうのだが……
その明るいお姉さんは、お金がないからなるべく安く! と主張するわたしたちに対しても、優しく接してくれた。最初に提示されたものは思っていた金額よりずっと高く(なにしろ某ガイド本では一日5000円とあったがそんなものではない)、ショックをうけるわたしたち。今さらインドに戻るわけにもいかず、「もっと安い所ないの〜」なんて泣きつき、少しまけてもらってしまった。
3日間の滞在だったのだが、インドで30日分のお金が、モルディブでは3日間でなくなってしまったのであった。
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2005年02月23日
第2話 飛行機にて(1996年夏)
きっと私たちのように、南インド旅行中にモルディブに向かう旅行者は、他にもいるのだろうと思っていた。ところが、である。モルディブの首都マーレに向かう飛行機の中には旅行者らしき人はいなかった。日本人がいないというだけではなく、西洋人も皆無。見渡す限り、インド系の人々なのだ。しかも皆一様に大きな荷物を持っている。テレビなどの電化製品が段ボールに入っていて、それを機内持ち込みしているのだ。それはなかなか楽しい光景だったのだが……
飛行機の中では、インド映画のダンスシーンを集めた映像を延々と上映していた。それはわたしも大好きなので、楽しんで見ていた。
インド映画をご覧になったことのある方は御存じだろうが、インド映画のダンスシーンはなかなか面白い。主役カップルの後ろでたくさんの人々が踊る。衣装も次々と変わり、場所も変わる。しかも、ノリのよい歌に合わせて10分くらい続くこともあり、なかなか見ごたえがあるのだ。
そのダンスシーン、役者さんたちは大真面目なのだが、見ているわたしからすると爆笑してしまうような奇天烈な表現も多くある。例えば、日本でもヒットした『ムトゥ 踊るマハラジャ』という映画のダンスシーンでは、ヒロインをシタールにみたてて主人公が彼女の身体に手をそわせる、などというなにげに色っぽいのだがおかしいシーンがあったりする。
さて、そこで流れていたダンスシーンにももちろん笑える場面が多々あり、わたしと友人Kは爆笑していた。
ところが。
まわりのインド人は誰も笑っていないのである。みんな真剣な表情をして画面を見つめている。わたしたちは少し衝撃を受けてしまった…… なんでみんな笑わないの? これが国民性の違いなのか?? しかし、インドの映画館では映画を見ながら爆笑したり、騒いだりと、楽しんで映画を見るとの噂であるが……
謎は謎のままである。
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2005年02月17日
第1話 モルディブへ(1996年夏)
「トリヴァンドラムからモルディブに行けるらしいよ。1日5000円だって」
そんな会話がきっかけだった。
当時(1996年)、南インドを旅行してまわっていたわたしと友人Kは、なんとなしにガイドブックの投稿コラムに目を通していた。投稿者がインドの都市トリヴァンドラムからモルディブの首都マーレに渡ったという記事。ほんの少しの短い文章だったのだが、興味をひかれた。アーユルヴェーダにでも行こうかと日程にはちょうど余裕があった。
「じゃあ明日インディアンエアラインズ(インドの国内線)に行ってみて、空きがあったら行こうよ。なかったら諦めるっていうことで」
わたしたちの旅行は、どこへ行こうとか友人Kが大体の予定をたててくれてはいたが、わりと行き当たりばったりだった。いつも大体こんな感じだったので珍しいことではない。はじめてインドに旅行した時も、先輩の話を聞いていたらネパールに行きたくなって、ガイドブックもないくせにネパールに行ったくらいである。今回はそれがモルディブになったというだけのこと……
チケットはあっさりとれた。こうして、わたしたちはモルディブに行くことになったのだ。
インド旅行の途中で。
こぎたないバックパックを背負って。
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2004年11月15日
ごあいさつ
学生の頃、長期休みがあると必ずといっていいほど、海外旅行に出かけていました。
行く先は、インドやネパール、タイといったアジアが主でした。学生の身であったので、バックパックを背負っての貧乏旅行です。泊まるのもホテルではなく安宿! その日の気持ちで行く先も泊まる所も自分できめるという気ままな旅行……
最近は時間の関係もあって旅行に行くことはめっきり減りましたが、旅行に行きたいという気持ちは変わりません。当時の自分とは考え方も変わったと思います。学生時代の旅行記をひもとくことによって、あの日々を思い出し、そしてその変化を楽しんで行こうと思います。
第1回目はモルディブ、2005年1月上旬予定です。お楽しみに。
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