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2005年01月01日

第二話『おやじという名のお袋』

今のところに引っ越してきたのは4年ぐらい前だけれども、当時、うちのすぐ裏の用水路に二つの猫家族が住み着いていた。

一つは三毛猫ママとその子どもたち。そして、もう一つの家族は、茶シマに白の入ったママ猫の一族。

三毛猫ママの方は、仔猫を産んだばかりでいつも気が立っていた。ご飯をあげに行っても、近くを通り過ぎても、常にシャーシャーと威嚇する。その威嚇の仕方がまた珍しかった。普通、猫は蛇みたいに「シャー」と言うけれど、どう考えてもこの三毛は「シャッ」としか言っていない。極端に短いのだ。いつしか彼女は、私たち夫婦に「シャー子」と呼ばれるようになった。シャーシャー言うからシャー子。

シャー子の仔猫は黒猫と、茶猫、そして、黒と茶がごちゃ混ぜになった雑巾みたいな柄の仔猫の3匹。けれど、仔猫の3匹は、決して人前に出てこなかった。シャー子が出さないのかもしれない。2年後ぐらいに、雑巾柄に似た猫を一度だけ見かけた。大きくなって、自分でご飯を捕れるようになったのかもしれない。シャー子は、相変わらず今も時々ご飯をねだりに来る。

かたや、茶シマママの一族の話題は尽きないほどある。

茶シマママのことは、私たち夫婦は「おやじ」と呼んでいる。

これにはわけがあって、当初、シャー子にご飯をあげていたときに、かなり後からシャー子に割り込んでご飯を食べに来る猫がいた。背中は茶色のシマシマで、おなかとお手々と顔の一部が白い成猫。ずいぶん態度が大きく、かといって、シャー子が特に威嚇するわけでもなかったので、シャー子の仔猫のパパなのだろうと思っていたのだ。人一倍食欲もある。

でも、シャー子と会ってからほんの数カ月後のある夜、ゴミを出しにいったときに「おやじ」が、自分と同じ柄の猫を3匹引き連れてすり寄ってきた。おやじが4匹出てきたのかと思ったほどそっくりな彼らは、だけど、おやじよりも一回りも二回りも小さい。もしや、と思っておやじのしっぽを持ち上げてみたら、なんと。今までオスだと思っていたおやじが、メスだということに気がついた。このそっくり仔猫たちの母親だったのだ。

そうか、それで人一倍食欲もあって、シャー子とは仲がよかったのかと、そのときには納得したけれど、長い間「おやじ、おやじ」と呼んでいたので、以降彼女は、おふくろなのにおやじと呼ばれるという奇妙な猫になってしまった。

おやじの仔猫はみんなかわいくて元気で人懐っこい。ご飯もたくさん食べる。

野良はあまり長生きをできないというけれど、君たちは長生きしなよ、と声を掛ける日々が始まった。

投稿者 らくーん : 2005年01月01日 00:27

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